読みもの / 整理と仮説
9月24日の記事で、子ども医療電話相談の♯8000は、平日の午前11時には5県でしか開いていないと書きました。そのとき、大人も子どもも対象とされる♯7119(救急安心センター)のほうは「一切調べていません」と書き残していました。今回はそちらを数えて、2つの一覧を重ねました。前回「大人も子どもも対象」と書いた♯7119は、消防庁の一覧の42行のうち24行が、対象者を「概ね15歳以上」としていました。
平日の午前11時に、♯8000か、対象者が「全年齢」の♯7119のどちらかが(ほぼ)全域で開いている都道府県は、20になります。ただし、別の11県では、その時刻に開いている♯7119の対象者の欄に「概ね15歳以上(※15歳未満は♯8000へ)」と書いてあり、案内された先の♯8000は、その時刻には閉まっています。
研究所が公開情報から拾っている声の束に、9月28日に拾ったもののなかに、こういう形のものがありました。要約は研究所の言葉です(本文は引用しません)。
生後3か月の子が寝ているだけで急にむせ、受診すべきか様子を見てよいか判断がつかない。/生後8日の子に2日間便が出ず、新生児で何日までなら様子を見てよいのか分からない。
9月24日の記事を書いたときの4つの声と、同じ形です。研究所は医療の判断はできませんので、今回も「どうすればよかったか」ではなく、「その問いを受け取る電話は、いつ・どこで開いているのか」の側を調べました。前回の記事に残した穴(♯7119を数えていない)を埋めるのが、今回の中身です。
| ♯8000の一覧 | 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」の実施状況の表。令和8年5月22日現在(表にそう書かれています。9月24日に数えたときと同じ時点のままでした)。47都道府県ぶん。 https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html |
|---|---|
| ♯7119の一覧 | 総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」の「♯7119実施エリア」の表。センター名・利用地域・対象者・番号・利用時間の5列で、42行。表にも頁にも時点の記載はありません。2026年10月1日に開いて数えました。 https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html |
♯8000は厚生労働省、♯7119は消防庁の頁です。同じ「受診すべきか迷ったときの電話」が、2つの役所の2枚の一覧に分かれて載っています。この記事は、その2枚を都道府県ごとに突き合わせただけのものです。数えたのは平日の時刻だけです(土曜・日曜祝日は別の時刻の県が多いので、混ぜていません)。
♯7119の一覧の「利用地域」の欄を、都道府県ごとに4つに分けました。分け方は先に決めてから数えました。
| ♯7119の利用地域 | 都道府県の数 | この記事での扱い |
|---|---|---|
| 県内(府内・都内)の全域 | 36 | 利用地域の欄が「◯◯県内」 |
| ほぼ全域 | 3 | 欄に「◯◯を除く」と1〜4の市町村が書かれているもの。隣の県のセンターが一部の市町を受け持っている県もここに入れました |
| 県の一部だけ | 3 | 1つの市か、1つの市とその周りの町村だけ |
| 一覧に無い | 5 | — |
| 計 | 47 |
⚠ 「一覧に無い」は「電話の相談が無い」ではありません。消防庁の頁そのものに、「上記以外にも、♯7119以外の番号で救急電話相談等を行っている地域があります」と書いてあります。研究所が数えたのは、この一覧に♯7119として載っているかどうかまでです。
♯7119の一覧には、♯8000の一覧には無い「対象者」という列があります。42行を読むと、書き方は2通りしかありませんでした。
| 対象者の欄 | 行の数 | うち利用時間が「全日24時間」 |
|---|---|---|
| 全年齢 | 18 | 18 |
| 概ね15歳以上(※15歳未満は♯8000へ) | 24 | 15 |
| 計 | 42 | 33 |
半分強の行が、15歳未満の子を♯8000へ案内しています。名前にも出ていて、「おとな救急電話相談」「大人の救急電話相談」「一般向け救急電話相談」という名前の窓口がいくつもあります。
⚠ この欄の「概ね」が、実際の電話でどう扱われているかは確かめていません。子どものことでかけた電話を断るのか、聞いたうえで♯8000を案内するのか、その場で相談に乗るのかは、この一覧からは分かりません。研究所が書けるのは、一覧の欄にそう書いてある、までです。
2枚の一覧を都道府県ごとに重ねて、平日の午前11時に、15歳未満の子のことでかけられる電話がどうなっているかを、上から順に当てはめました(上の行に当てはまった県は、下の行では数えていません)。
| 平日の午前11時 | 都道府県の数 |
|---|---|
| ♯8000が開いている | 5 |
| ♯8000は閉まっているが、対象者が「全年齢」の♯7119が、県の全域で開いている | 13 |
| 同じく「全年齢」の♯7119が、ほぼ全域(一部の町村を除く)で開いている | 2 |
| 同じく「全年齢」の♯7119が、県の一部の地域でだけ開いている | 3 |
| 開いている♯7119はあるが、対象者の欄が「概ね15歳以上(※15歳未満は♯8000へ)」 | 11 |
| ♯7119はあるが、平日の昼は開いていない | 8 |
| ♯7119の一覧に無い | 5 |
| 計 | 47 |
上の3行を足すと20都道府県です。9月24日の記事の「5県」は、♯8000だけを数えた数でした。♯7119の「全年齢」の窓口を足すと、平日の昼に子どものことでかけられると一覧に書いてある電話が、県のほぼ全域で開いているのは20都道府県になります。前回の記事の見出しは、♯8000という1つの番号の話としては正しいのですが、「平日の昼に子どものことを聞ける電話」の話としては狭すぎました。
そして11県では、平日の午前11時に開いている♯7119の対象者の欄が「概ね15歳以上」で、「15歳未満は♯8000へ」と案内されている先の♯8000は、その時刻には閉まっています。(11県のうち1県は、♯7119が県の中の1つの市だけです。また、上の「県の一部の地域でだけ」の3県のうち1県は、残りの地域の♯7119の対象者が「概ね15歳以上」です。)一覧どうしを重ねると、案内の矢印の行き先が、その時刻には閉まっているという形になっています。
残りの13県(♯7119が平日の昼は閉まっている8県と、一覧に無い5県)では、2枚の一覧のどちらにも、平日の午前11時に開いている電話がありません。⚠ ただし、上に書いたとおり、♯7119以外の番号で相談を受けている地域があります。「電話がない」とまでは言えません。
同じ当てはめを、平日の1時間ごとにやりました。1つ目は♯8000だけ、2つ目は♯8000か「全年齢」の♯7119(全域・ほぼ全域)のどちらかが開いている都道府県の数、3つ目は開いているのが「15歳未満は♯8000へ」と書いてある♯7119だけの都道府県の数です。
| 平日のその時刻 | ♯8000だけ | ♯7119(全年齢)を足すと | 「15歳未満は♯8000へ」の窓口だけが開いている |
|---|---|---|---|
| 午前0時 | 47 | 47 | 0 |
| 午前1時〜6時 | 46 | 47 | 0 |
| 午前7時 | 44 | 47 | 0 |
| 午前8時 | 10 | 25 | 10 |
| 午前9時 | 6 | 21 | 11 |
| 午前10時〜午後3時 | 5 | 20 | 11 |
| 午後4時・5時 | 6 | 21 | 11 |
| 午後6時 | 22 | 30 | 7 |
| 午後7時 | 46 | 47 | 0 |
| 午後8時〜11時 | 47 | 47 | 0 |
夜は、♯8000だけでほぼ全国が埋まっています。♯7119の「全年齢」の窓口が効いてくるのは、主に♯8000が閉まっている朝8時から夕方6時までで、その時間帯に5〜22だった数が、20〜30に上がります。一方で、「15歳未満は♯8000へ」と書いてある窓口しか開いていない県は、ちょうどその同じ時間帯にだけ現れます。夜にはこの形は起きません。夜は♯8000が開いているからです。
9月24日の記事で引いた国の報告書は、平日の昼の「かけたい人の多さ」が深夜の2倍以上だと測っていました(年少人口あたりに割り直した値)。その昼の時間帯に、案内の行き先が閉まっている県が11ある、ということになります。
2枚の一覧の「一般の電話番号」の欄を突き合わせると、♯8000と♯7119の番号がまったく同じ県が1つありました(その県の♯7119の名前には「おとな」と付いています)。番号は2つでも、受ける場所は1つ、という作り方もあるということです。どちらの番号にかければどこに着くのかは、一覧の上の名前だけでは分かりません。
♯8000は都道府県の事業として始まった、と厚生労働省の報告書は書いていました(9月24日の記事)。♯7119は、消防庁の頁に「消防庁では、♯7119の全国展開を進めています」とあり、消防庁の「実施団体基本情報調査一覧」(下の「確かめていないこと」に書いたPDF)の見出しを見ると、県だけでなく市が実施主体になっているもの(県の一部だけ、の3つはそれです)が入っています。窓口の持ち主が、県と市と、2つの役所の側に分かれているので、2枚の一覧を重ねない限り、自分の住んでいる所で平日の昼にどこへかければよいかは見えてきません。
研究所が何度も見てきた形が、ここにもあります。番号は全国で揃っているのに、中身(何時に・誰の相談を受けるか)は揃っていない。そして揃っていないことは、番号からは分からない。今回はそれに、案内の矢印(「15歳未満は♯8000へ」)が、時刻によっては閉まった窓口を指しているという形が加わりました。
ここに書いたのは、国の2つの一覧を数えて重ねた結果です。医療の判断ではありません。研究所は、あなたのお子さんの様子を知りませんし、受診すべきかどうかを言うことはできません。以下は、手元で確かめられることだけです。
この記事は、公開されている場所に書かれていた声と、9月24日の記事に残した「調べていないこと」から始まりました。研究所は本文を保存も引用もしていません。残しているのは「誰が・何に・どう困ったか」の1行と、元の場所だけです。1件しかない声でも扱います。もし平日の昼に、子どものことで電話をかける先が見つからなかったことがあったら、投稿箱で教えてください。研究所はメールも名前も受け取りません。