ともりの困りごと研究所

読みもの / 整理と仮説

「家で試していない食材は園で出さない」「量の指示は除く扱い」は、どこに書いてあるのか — 国のガイドラインは「食材を家で先に試す」と「量の指示は除く」を書いていて、「段を丸ごと上げない」と、除いたあとの埋め方は書いていなかった

ともりの困りごと研究所 / 2026年10月7日

食物負荷試験で、小麦に「この量まで」という指示が出た0歳の子。預け先の給食では、小麦を使う日は主食が無くなり、家でまだ試していない肉や魚・大豆製品があるうちは次の段の離乳食に上がれない、と言われた——これが国の文書のどこに書いてあるかを読みました。保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)が書いているのは2つです。量の指示は、園では「完全除去」か「解除」のどちらかにする。初めて食べる食品は、ひとつずつ家で安全に食べられることを確かめてから園で出す。一方、試していない食材があるうちは次の段の食事を丸ごと出さない、という束ね方は、読んだ国の文書にありませんでした。除いたあとをどう埋めるか(代わりの献立・お弁当)も園ごとの判断に残されていて、同じ文書は個別の対応を「制限するものではありません」と書いています。主食を抜くことを名指しした文もありませんでした。この記事は、何日・何食なら栄養に響かないかには答えません。

どこから来た問い

公開されている相談に、こういう声がありました。0歳の子の離乳食を、家では1日2回に進めていて、たんぱく質の食材もいくつか食べている。食物負荷試験のあと、医師から、小麦はしばらく決まった食品だけを、量を測って与えるようにと言われた。ところが預け先(園の給食のようなところ)では、小麦が食べられないなら、おかゆの日以外は主食なしになると言われた。さらに、次の段(中期)の食事は、家でまだ試していない肉や魚、大豆製品をひととおり試していないと出せないと言われ、たんぱく質の入らない最初の段の食事が続くことになる。これまでは食事の時間に預けるのを避けてきたが、事情があって預けざるを得なくなり、預け先も変えられない——という内容です。相談した人は、栄養への影響と、預け先とどこで話し合えるかを聞いていました。

研究所は、前の半分(何食・何日抜けたら影響が出るか)には答えません。それは子どもを見ている医師と栄養の専門家の仕事です。確かめたのは後ろの半分の手前——預け先が言ったことが、国の文書にどう書いてあるか、そして国の文書が何を園の判断に残しているかです。

ひとつ断っておくと、相談には「イメージとしては保育園の園食」とあるだけで、預け先が保育所かどうかは分かりません。ここで読んだのは保育所に向けた国の文書です。認可外の施設や一時預かりについては、読んでいません。

① 「家で試していない食材は出さない」:国の線。ただし、食材ひとつずつの話として書かれている

ガイドラインは、食物アレルギー対応の基本の1つとして、こう書いています。

子どもが初めて食べる食品については、家庭で安全に食べられることを確認してから、保育所で提供を開始することを基本とする。(保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版) 22頁)

給食の工夫の節では、もっと具体的です。

新規の食物にアレルギー反応が起きるか否かは食べてみないと分からないことから、家庭において可能であれば2回以上、保育所で提供する量程度、もしくはそれ以上の量を食べて何ら症状が誘発されないことを確認した上で、その食物を給食で食べることが理想的です。(同 41頁)

2025年9月に出た、こども家庭庁の「児童福祉施設等における食事の提供ガイド」も、同じことを「原則です」と書いています(57頁)。つまり、家で先に食べておいてもらう、という線は国が引いた線です。預け先が勝手に厳しくしているわけではありません。

ガイドラインが離乳食と「初めて食べる」を名指しで結んでいる文は、給食・離乳食の工夫を挙げた節の冒頭にあります。

離乳食は、『授乳・離乳の支援ガイド』(平成 31 年3月 厚生労働省)を参考にして、保育所で“初めて食べる”食物を基本的に避けるように保護者と連携することが重要です。(同 40頁)

そのうえで、書き方を見ると、ガイドラインがしているのは食材ひとつずつの確認です。「全入所児のこれまでの家庭における代表的な個々の食物の摂食状況を調査把握する」「保育所は事前に献立を提供し、これまで食べたことのない食物が給食にないか家庭でもチェックしてもらう」(41頁)。アレルギー対応ガイドラインの全文に「中期」「初期食」「中期食」「月齢」は0回でした(「初めて食べる」は7回)。授乳・離乳の支援ガイドにも「中期食」「初期食」は0回でした。「試していない食材が1つでもあるうちは、次の段の食事を丸ごと出さない」という束ね方は、読んだ国の文書には書かれていません。それは園の献立の組み方の話です。

離乳食の段の進め方そのものについては、2025年のガイドが「月齢や目安量にこだわった画一的な進め方ではなく、一人一人のこどもの食欲や発育・発達状況…を踏まえ、離乳食の種類や形態、量を調整するなど、こどもに応じて無理なく進めていくことが重要です」(7頁)と書き、施設での離乳の進め方の例に「個別対応が必要な場合は、個別献立を作成します」「離乳食の進行は、いきつ、戻りつとなることはよくあります」を挙げています。同じ取組例は、離乳食の「調理形態がこどもの咀嚼機能に対して適切か、次のステップに移行するタイミング等を、担当保育士、管理栄養士・栄養士、看護師等は、こどもが食べる様子を直接見て判断、配慮することが求められます」とも書いています(45頁)。段の上がり方について、読んだ国の文書がいちばん直に書いていたのはこの一文で、見るものとして挙がっているのはこどもが食べる様子です(アレルギーの観点で家で試した食材の数には触れていません)。授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)は、段を「生後7~8か月頃」のように書き、離乳の開始の節で「月齢はあくまでも目安であり」と書いています(30〜31頁)。ただし、これらは「そうするのが重要」という手引きの言葉で、園に個別献立を義務づける文ではありません。園の人手や調理室の広さで、できることは変わります。

② 「量の指示は除く扱い」:これもはっきり国の線

こちらは、ガイドラインがいちばん繰り返し書いていることでした。

食物アレルギーを有する子どもへの食対応については、安全への配慮を重視し、できるだけ単純化し、「完全除去」か「解除」の両極で対応を開始することが望ましい。(同 9頁)

理由も書いてあります。家での指示は「“完全除去”指導から、“混入程度はよい”、“25ml までならよい”、“100ml までならよい”などと千差万別」で、それをそのまま給食に持ち込むと「調理や管理が煩雑となるだけでなく、誤食発生の遠因にもなります」(41頁)。そして、体調を崩したときには、ふだん食べられている量でも症状が出ることがある、とも。

保育所において、個々の摂取量上限に個別に対応していくことは実質不可能であり、保育所における対応の基本は完全除去とするべきです。(同 44頁)

症状が出たことのある食物を、負荷試験の結果で解除していく場面については、もう一段はっきりしています。「原因食品の部分解除は推奨せず、“完全除去”か“解除”の両極で対応するべきです。また、負荷試験の結果、食べられるという医師からの診断があっても、家庭において複数回、保育所での最大摂取量を食べても症状が誘発されないことを確認した上で、保育所での解除をすすめるべきです」(43頁)。

2025年のガイドは、2つの原則を並べて書いています。「食物アレルギーの食事対応は、『正しい診断に基づく必要最小限の食物除去』が原則とされています。一方、集団生活が行われる保育所では、…生活管理指導表を用いた原因食品の完全除去を行うこと…が原則です」(57頁)。家では必要な分だけ除く、園では除くか除かないかの2つにする——家と園で線の引き方が違うことを、国の文書は最初から前提にしています。相談の人が「量を測って与える」と言われた小麦が、園では「出さない」になるのは、この線どおりです。

③ 除いたあとをどう埋めるか:ここは園の判断に残されている

①と②が国の線だとすると、残るのは抜けた所をどう埋めるかです。ここで、ガイドラインの言い方はがらりと変わります。

場面ガイドラインの言い方
個別の対応そのもの給食・離乳食の工夫や注意点を挙げた節の冒頭に「しかし、調理室の環境が整備されていたり、対応人員に余裕がある、また栄養士・調理員の対応能力が高ければ、個別に対応することを本ガイドラインによって、制限するものではありません。離乳食は、『授乳・離乳の支援ガイド』(平成 31 年3月 厚生労働省)を参考にして、保育所で“初めて食べる”食物を基本的に避けるように保護者と連携することが重要です」(40頁)
主菜を除くとき鶏卵・牛乳・小麦は献立に組み込まれやすいので、「主菜として献立を立てる時は、除去を必要とする子どもがいる場合は代替献立を意識し、納品や調理が可能であるかを検討した上で取り入れることが重要です」(40頁)
給食で出すのが難しいとき調味料程度の少量も食べられない厳しい除去が要る子について、「当該食品が含まれる料理については、弁当対応も検討して下さい」(44頁)。※量の指示のある子の話ではなく、より厳しい除去の子の話
保護者から個別の対応を求められたとき「家庭で行っている場合と同様に、個別性の高い除去や代替食対応を求められる場合もあります」。そのときは保護者の気持ちを受け止め、基本原則を「丁寧に説明を行い、相互理解を図ることが重要」(39頁)
保護者とのやりとり「まずは、家庭における食生活があり、その延長線上に保育所の給食があるという認識のもとで」、献立を毎月保護者と確認したり、面談で家庭での様子を聞き取ったりする(42頁)

アレルギー対応ガイドラインの全文に「主食」は0回でした(「小麦」は28回)。「主食を抜く」「主食を抜」は2025年のガイドにも0回です。小麦を除いた日に主食をおかゆなどに置き換えるか、置き換えないかは、どちらとも書かれていません。書かれているのは、主菜について「代替献立を意識」すること、個別の対応を「制限するものではない」こと、そして園の調理室と人手しだいだということです。2025年のガイドには、給食センターから運ぶ形の園が、食物アレルギーの子に「完全代替食を実施し、他のこどもとなるべく同じ献立になるように工夫しています」という取組例が載っています(72頁)。これは1つの施設の例で、国が求めている形ではありません。

法令の側では、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第11条第3項が、食事は「食品の種類及び調理方法について栄養並びに入所している者の身体的状況及び嗜好を考慮したものでなければならない」と書いています。保育所保育指針(第3章 2(2)ウ)は「体調不良、食物アレルギー、障害のある子どもなど、一人一人の子どもの心身の状態等に応じ、嘱託医、かかりつけ医等の指示や協力の下に適切に対応すること」。どちらも、何を出せという中身までは決めていません。

もう1つ、医師が書く生活管理指導表(ガイドラインの参考様式)には「E.特記事項」の欄があり、様式には「その他に特別な配慮や管理が必要な事項がある場合には、医師が保護者と相談のうえ記載。対応内容は保育所が保護者と相談のうえ決定」と注記があります。ガイドラインの説明(46頁)では、負荷試験の結果をもとに医師が食事の指導をしているときに、家での食べ方をこの欄に書くこともできるとされています。ただし続けて、そう書かれていても園では「その完全除去を基本として対応することが必要ですが、子どもの体調の変化等を観察する際の参考とすることが考えられます」。E欄は、量の指示を園に持ち込む欄ではなく、園が様子を見るための参考の欄として書かれています。

3つを並べて見えること(ここからは仮説)

預け先が言ったことを3つに分けると、量の指示を除く扱いにすることと、初めての食材を家で先に試してもらうことは、国のガイドラインが理由つきで選んでいる線でした。国の文書は「誤食を防ぐために、園では単純にする」を、家での必要最小限の除去よりも優先すると、はっきり書いています。3つ目の、試していない食材があるうちは段を丸ごと上げないは、読んだ国の文書には無く、2025年のガイドの取組例は段の上がり方を「こどもが食べる様子」で見る形を書いていました。

そのうえで、ガイドラインの作りを見ると、園での解除の速さは、家で試す速さで決まるようにできています。初めての食材は家で(できれば2回以上・園で出す量程度以上)、負荷試験のあとも家で複数回、園での最大量を食べてから、書面で解除する。家で試す役が、最初から家の側に置かれているのです。だから園は「事前に献立を提供し」、家でチェックしてもらう(41頁)。献立を前もって受け取り、家で試す日をそこに合わせて組むことは、ガイドライン自身が想定している動き方です。

そして、国の文書が開けたままにしているのは「除く」の後ろ側——抜けた所を何で埋めるか——でした。相談の人の困りごとの芯は、除かれること自体よりも、除かれた所が空のまま続くことにあるように見えます。話し合いの入口があるとすれば、「量の指示を守ってほしい」ではなく、「除かれる日に、すでに家で食べられているもので置き換えられるか」と、「家で食べられている食材だけで、次の段の形の食事を出せるか」のほうかもしれません。ただし、それができるかどうかは園の調理室と人手しだいで、ガイドラインは園にそれを求めてはいません。研究所は、預け先の対応がよいか悪いかを判定しません。

これは、読んだ範囲での仮説です。この預け先が実際に何をできるのか、ほかの園がどうしているのかは、見ていません。

確かめたこと/確かめていないこと

読んだもの厚生労働省「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」(2019年4月・本文91頁)と参考様式「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」(いずれもこども家庭庁の保育の頁に掲載)。こども家庭庁「児童福祉施設等における食事の提供ガイド」(令和7年9月・109頁。同庁の頁に掲載)。厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」(平成31年3月・60頁)。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第11条(e-Gov法令検索・法令APIの条文取得)。保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号)第3章 1(3)ウ・2(2)ウ。いずれも10月7日に取得。頁はすべて印刷された頁の番号
数え方PDFは pdftotext -layout で読み、頁ごとに空白と改行を潰してから語を数えた。アレルギー対応ガイドラインで「中期」「初期食」「中期食」「月齢」「主食」「うどん」は0回(陽性対照:「初めて食べる」7回・「小麦」28回・「完全除去」13回)。「部分解除」1回・「制限するものではありません」1回・「弁当」1回・「代替」3回。2025年のガイドで「主食抜」「主食を抜」0回(陽性対照「主食」6回。6回とも目で読み、主食を抜くことに触れた文は無かった)・「画一的」1回・「個別献立」1回。授乳・離乳の支援ガイドで「中期食」「初期食」「給食」0回(陽性対照「初めて」6回)。走査は research/data/kyushoku.py
確かめたこと初めて食べる食品は家で確かめてから園で出すこと(ガイドライン 22頁「基本」・41頁「理想的」、2025年のガイド 57頁「原則」)。家での確認が食材ひとつずつの話として書かれていること(41頁)。量の指示は園では「完全除去」か「解除」にすること(9頁・41頁・44頁)と、負荷試験のあとの部分解除を推奨しないこと(43頁)。2025年のガイドが「必要最小限の除去」と「園では完全除去」を並べていること(57頁)。個別の対応を制限しないこと・主菜の代替献立・弁当対応・保護者との相互理解・献立の毎月の確認(39〜42頁・44頁)。生活管理指導表の「E.特記事項」の注記と、ガイドラインのE欄の説明(46頁)。離乳食と「初めて食べる」を結んだ一文(40頁)。2025年のガイドの段の移行の取組例(45頁)と完全代替食の取組例(72頁)。授乳・離乳の支援ガイドの「月齢はあくまでも目安」(30頁・離乳の開始の節)。基準 第11条第3項と保育所保育指針 第3章 1(3)ウ・2(2)ウ の文。自治体の保育担当の役割の例(ガイドライン 20頁)。2025年のガイドの「画一的な進め方ではなく」(7頁)と「個別献立」「いきつ、戻りつ」(45頁)
確かめていないこと預け先が保育所かどうか(相談からは分からない)。認可外の施設や一時預かり事業の食事の決まり(認可外保育施設指導監督基準も一時預かり事業の実施要綱も、食事の項を読んでいない)。園が実際に、除いた日の主食を置き換えているかどうか(国の調査を探していない)。市町村が独自のアレルギー対応の手引きを持っているか(町ごとに違うので、この記事の外)。ガイドラインが2019年より後に改められる予定があるか(こども家庭庁の頁は2019年改訂版を載せていて、2025年9月の食事の提供ガイドも参照先を2019年改訂版にしている・57頁。予定までは調べていない)。生活管理指導表のE欄が、実際にどう使われているか
していないこと何食・何日なら栄養に響かないかを答えること。小麦の量や、次に試す食材の順番を答えること。預け先の対応がよいか悪いかを判定すること。相談の文章を再掲すること

いま困っている方へ

ここに書いたのは、国が公開している手引きと法令を読んだ結果です。一般的な話であって、お子さんの体の状態や、預け先の決まりは研究所には分かりません。小麦をどの量まで・どう進めるか、次にどの食材を試すかは、負荷試験をした医師(かかりつけ医)に相談してください。

園で除去や解除をするときの書類は、ガイドラインの形では次のとおりです。除去を頼むときは、医師の診断に基づく生活管理指導表が要ります(ガイドライン 21頁。2025年のガイドは、保護者の依頼を受けて医師が作成するもの、と書いています)。解除するときは、指導表は要らないが、口頭で済ませず、保護者と園の間で書面を作る(ガイドライン 43頁。参考例として「除去解除申請書」の様式が付いています)。園の献立を前もって受け取れるかは、園に聞けます(ガイドラインは、事前に献立を提供して家でチェックしてもらう形を書いています・41頁)。

保育所保育指針は、アレルギー疾患のある子の保育を「保護者と連携し、医師の診断及び指示に基づき、適切な対応を行うこと」とし、「看護師や栄養士等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応を図ること」と書いています(第3章 1(3)ウ)。保育所の利用は、市町村が認定と利用の調整をしています。ガイドラインは、自治体が所管の保育所のアレルギー対応を支援するための取組の例として、保育担当の「各保育所のアレルギー対応状況の把握、相談体制の構築」を挙げています(20頁。保護者の窓口として書かれた文ではありません)。

元になった声について

この記事は、公開されている相談1件から始まりました。相談の文章そのものは残していません(研究所が持っているのは1行の要約と元のURLだけです)。同じことで困っていたら、投稿箱で教えてください。研究所はメールも名前も受け取りません。