ともりの困りごと研究所

読みもの / 整理と仮説

就労証明書の「就労時間」は、契約の時間か、働いた時間か — 国の様式は2つの欄に分けていて、保育の要件をどちらで見るかは、読んだ国の文書に書かれていなかった

ともりの困りごと研究所 / 2026年10月6日

保育園の現況届に出す就労証明書で、パートで働く親の月の時間が、要件に数時間だけ届かなかった——という声から読みました。就労証明書の様式は府令の様式(施行規則の様式第一号)で、いまの形は2024年9月30日の改正からです。「就労時間」(No.6)と「就労実績」(No.7)の欄が別にあります。国が示した記載要領は、No.6を「雇用契約に基づく就労時間であり、実際に就労した時間(実績)ではありません」と書き、No.7には直近3か月の実績を書くとしています。一方、保育の要件の線(施行規則 第1条の5 第1号)は「市町村が定める時間以上労働することを常態とすること」で、契約と実績のどちらで見るかは、読んだ国の文書に書かれていませんでした。見るのは市町村です。この記事は、あなたの場合に要件を満たすかどうかを判定しません。

どこから来た問い

公開されている連載の書き込みに、こういう話がありました。パートで働いていて、子を保育園に預けている。秋の現況届のために勤め先に書いてもらった就労証明書の、月の合計の時間が、住んでいる町の基準に少しだけ足りなかった。シフトはいつも基準を超える時間で組まれている。ただ、直近の数か月は、自分や子の発熱で当日に休む日が続いた月と、学校の長い休みに合わせて、上司の許可をもらって休んだ月だった。勤め先は「実績が伴っていない」ことを理由に、時間の書き直しに応じなかった。役所の窓口に契約書とシフト表も持って行ったが、「会社に合計の時間を書き直してもらうしかない」と言われ、代わりに「求職中」の扱いにして3か月の間に実績を積む道を示された。

本人によれば、契約書にはシフトで組まれている合計の時間も書かれていて、そちらは基準を満たしている。その後、本人は契約書を見直して、同じ契約書の「週の勤務日数」の欄の数に1日の時間を掛けると、就労証明書の時間と一致することに気づいた。シフトはその日数より多く組まれている。勤め先に欄を実際のシフトに合わせて直してほしいと頼んだが、応じてもらえなかった——という内容です(連載はまだ続いています)。

研究所が確かめたのは、就労証明書の「時間」は契約の時間なのか、働いた時間なのか、そして保育の要件はどちらで見ることになっているのかが、国の文書のどこに書いてあるかです。市町村の要綱や運用は読んでいません(町ごとに違うので、この記事の外です)。

① 要件の線は「常態」。契約とも実績とも書いていない

働いていることを理由に保育の認定を受ける線は、子ども・子育て支援法施行規則 第1条の5 第1号にあります。

一月において、四十八時間から六十四時間までの範囲内で月を単位に市町村が定める時間以上労働することを常態とすること。(子ども・子育て支援法施行規則 第1条の5 第1号)

何時間を線にするかは、48〜64時間の幅の中で市町村が決めます。国の通知(平成26年9月10日・令和2年9月10日最終改正と表紙にある版)は、この幅の理由を「フルタイム就労の半分以上を目安」に、地域の実情を踏まえて市町村が定める、と説明していますが、その時間を契約で見るか実績で見るかには触れていません。府令の言葉は「常態」で、いつもそうであること、です。

現況届は、法 第22条と施行規則 第9条の毎年の届出で、届ける事項は「第一条の五各号に掲げる事由の状況」、添える書類は最初の申請と同じもの(施行規則 第2条第2項)です。働いていることが理由のときは「原則として様式第一号による」——つまり毎年、同じ様式の就労証明書を出す形です。

② 様式は、契約の時間と実績を別の欄に書かせている

就労証明書の様式は、施行規則の様式第一号として府令に載っています。いまの形は、2024年9月30日公布・施行の改正府令(令和6年内閣府令第84号)が「様式第一号を次のように改める」としたものです。国の事務連絡はこれを「標準的な様式の原則使用についての法令上の措置」と呼んでいます。府令の様式には、時間の欄が2つあります。

欄国が示した記載要領の言い方
No.6 就労時間(固定就労の場合)月間の合計時間は「雇用契約に基づく就労時間であり、実際に就労した時間(実績)ではありません」。就労日数も「雇用契約に基づく就労日数であり、実際に就労した日数(実績)ではありません」。残業は除く
No.6 就労時間(変則就労の場合)「日々の就労時間が定められていない就労者について、雇用契約に基づく就労時間を記載してください」。同じく実績ではない。シフト勤務の場合は、市区町村が保育の必要性の認定に必要なときだけ、シフト表の追加提出等を求める場合がある
No.7 就労実績「直近3か月の1か月当たりの就労日数、就労時間数」。有給休暇の取得日は就労日数に含める。残業も含める。育休などで直近に実績がなければ、取る前の実績を書く
No.18 備考欄拘束時間の特例や休業の実績のほか、「その他特記事項があれば、この欄に記載してください」

記載要領は、こども家庭庁の「就労証明書」の頁に置かれた、いまの様式のExcel(令和8年8月5日に掲載を更新)の中にあり、PDF版にも同じ文があります(記載要領の見出しは【就労証明書(簡易版)】記載要領となっていますが、いまの様式の記載要領です)。府令の様式第一号そのものは1枚の表だけで、記載要領は付いていません。ですから「No.6は契約の時間」というのは、法令の条文ではなく、国が示した書き方の手引きの言葉です。なお、2023年9月1日版のFAQ(いまは頁の「過去の標準的な様式」の側に置かれています)は、「記載要領は修正してもよいか」に「差し支えございません」と答えていました。府令の様式になった後の扱いが同じかどうかは、確かめていません。

記載要領が実績に含めると書いているのは有給休暇で、子の看護等休暇のように、会社によって無給のこともある休みや、当日の欠勤をどう扱うかには触れていません(記載要領で「看護」「欠勤」は0件でした)。

③ 声に当ててみる(判定ではなく、形を見るだけ)

本人の読み方のとおりなら、この契約書には時間の数が2つありました。シフトの合計の時間(基準を満たす)と、週の勤務日数の欄から計算できる時間(基準に数時間届かない)です。就労証明書のNo.6には、後者が書かれていたことになります。

記載要領は、No.6を「雇用契約に基づく就労時間」と書いています。けれど、1つの契約書の中に食い違う2つの数があるとき、どちらを書くのかには触れていません(雇用契約上、週や年で時間が決まっている場合の換算のしかたは書かれています)。勤め先が書き直さない理由として挙げた「実績が伴っていない」は、記載要領の上ではNo.7の欄の話です。この勤め先の書き方が正しいかどうかを、研究所は判定しません。

そうすると、詰まっていたのは就労証明書の書き方というより、契約書の中の2つの数と、実際に組まれているシフトのずれです。そこで、労働の側の国の文書も読みました。

④ 労働の側:シフト制の留意事項は、2026年6月の改正で「乖離しないように」の一文を足していた

厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(令和4年1月7日、令和8年6月19日改正)は、シフト制の契約で、あらかじめ話し合っておくことが考えられる事項として、「一定の期間において、目安となる労働日数、労働時間数」(例「1か月○日程度勤務」)や、最低限働く日数を挙げています(2(2)ウ(イ))。

そして年次有給休暇の節(2(4)ウ)に、次の2つの文があります。

所定労働日とは労働契約により労働義務の設定された日であり、所定労働日数とはその日数のとおりに働くことを使用者と労働者で約束するものであることから、実際に働く日数と、所定労働日数が乖離しないようにすることが望まれます。使用者の都合で一方的に所定労働日数を増減させることは認められません。(シフト制の留意事項 2(4)ウ(ア))

この2つの文は、令和4年1月7日の版(労働局が掲載している写し)には無く、令和8年6月19日の改正版で出てきます。置かれている場面は年休の日数の数え方で、保育の話ではありません。1つ目の「乖離しないように」は「望まれます」、2つ目は、使用者の都合で所定労働日数を一方的に増減させることを「認められません」としています。声の話は、契約の日数より多くシフトが組まれているという形で、所定労働日数を一方的に変えた話かどうかは、書き込みからは分かりません。

同じ留意事項は、雇用保険の加入の節(4(2)イ)では、契約と実際がずれたときの扱いを書いています。

1週間の所定労働時間については、2(2)ウ(イ)に記載の基本的な考え方が労働契約書等に定められている場合は、それに沿って判断します。一方で、そうした定めがなくシフトが直前にならないと判明しない場合や、労働契約書等の内容と実際の勤務時間に乖離がある場合は、実際の勤務時間に基づき平均の労働時間を算定します。
なお、シフトの減少により臨時的・一時的に20時間を下回った場合でも、直ちに被保険者でなくなることはありませんが、恒常的に20時間を下回る見込みとなった場合は、その時点で被保険者でなくなります。(同 4(2)イ(ア))

つまり2段で、まず契約書の「目安」に沿い、目安が無いときや契約書と実際がずれているときは実際の勤務時間で見る、という形です。これは雇用保険の、週20時間の線(留意事項によれば令和10年10月1日から10時間に変わる)についての文です。保育の認定に持ち込める文ではありません。ただ、「契約と実際がずれたらどちらを見るか」「一時的に下がった月をどう見るか」を、別の制度では国が文章にしている、ということは分かります。

保育の側にも、契約と実際の扱いを書いた一文が1つだけありました。ただし親ではなく、園で働く職員の話です。公定価格に関するFAQ(第32版)No.358 は、高齢者等活躍促進加算の「非常勤職員」に当たるかどうかを「基本的には雇用契約においてどのような時間の勤務となっているかにより判断することで差し支えありません」とし、スポット的に外れても「直ちに要件を満たさなくなるものではありません」、ただし「雇用契約と勤務実態が大きく異なるような場合はこの限りではありません」と書いています。園の職員の加算の話なので、親の認定には持ち込めませんが、同じ「契約と実態」の問いに、国が別の場面では答えている例です。

⑤ 求職の扱いは、府令に形がある

窓口で示された「求職中」の扱いは、施行規則 第1条の5 第6号「求職活動(起業の準備を含む。)を継続的に行っていること」です。認定の有効期間は「九十日を限度として市町村が定める期間を経過する日が属する月の末日まで」(第8条第4号)。保育の時間の区分(標準時間・短時間)に分けないで認定することも、市町村ができます(第4条第2項)。声にあった「1日に預けられる時間が短い」がどういう決まりによるかは、その町の運用なので分かりません。

並べて見えること(ここからは仮説)

様式が2つの欄を用意しているのは、市町村が「いつもの姿」を、これからの約束(契約)とこれまでの記録(実績)の両方から見られるようにするためなのかもしれません。そうだとすると、パートで、子の発熱や学校の休みで休む月が続く人は、契約書の中の小さいほうの数がNo.6に書かれていて、実績も一時的に下がっているとき、どちらの欄を見ても「いつも」が映らないことがあります。声の人が困ったのは、ちょうどこの形だったように見えます。

その場合に動かせそうなのは、町の判断を変えることより、契約書の中の数をそろえて、実際のシフトに近づけることか、備考欄に事情を書いてもらうことかもしれません。ただし、前者は勤め先との合意が要り、後者を町がどう読むかは分かりません。これは、読んだ範囲での仮説です。

確かめたこと/確かめていないこと

読んだもの子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第19条・第20条・第22条〜第24条(e-Gov法令検索)。同法施行規則(平成26年内閣府令第44号)第1条の5・第2条・第4条・第8条・第9条・第11条・様式第一号(同)。いずれも e-Gov の法令API の全文XML(10月6日に取得。様式第一号は XML に付いた画像のPDFを頁の画像にして読んだ)。こども家庭庁「「就労証明書」に関する情報」の頁に掲載の、就労証明書(標準的な様式)のPDF(6頁・記載要領つき)とExcel(令和8年8月5日更新)、事務連絡4本(令和6年10月15日・令和6年7月19日・令和5年9月1日・令和5年5月29日)、令和6年度就労証明書提出に関するFAQ(令和5年9月1日版)。「子ども・子育て支援法に基づく教育・保育給付認定等並びに特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業者の確認に係る留意事項等について」(平成26年9月10日・表紙に令和2年9月10日最終改正)。事業者向けFAQ(第7版)、公定価格に関するFAQ(第32版・令和8年7月24日時点版)。厚生労働省「いわゆる「シフト制」について」の頁に掲載の留意事項本文(令和8年6月19日改正・14頁)と、労働局が掲載している令和4年1月7日の版(12頁)
数え方法令は本則だけを対象に、タグを外して空白を潰した文で数えた。PDFは pdftotext -layout で読み、空白を潰して数えた。陽性対照は「就労時間」「常態」。保育の側の国の文書(法・施行規則・様式と記載要領・事務連絡4本・FAQ・認定事務の通知・事業者向けFAQ・公定価格FAQ)で「実績」「実態」「実際の勤務」「乖離」「一時的」「恒常的」が出た所はすべて目で読み、親の要件を契約と実績のどちらで見るかに触れた所は無かった(「実績」は利用定員や加算の実績報告、「実態」は下限の幅を決めた理由・保育士としての勤務実態・施設の運営の話、「一時的」「恒常的」は一時預かりや定員の話。契約と実態の扱いに触れていたのは公定価格FAQ No.358 の園の職員の加算の1件だけ。事業者向けFAQ【保育所に関すること】Q10 は、シフト勤務の人の保育標準時間・短時間の区分を「主としている勤務時間」で市町村が判断できる、という話で、要件の下限の話ではない)。シフト制の留意事項の「乖離しないように」と「一方的に所定労働日数」は、新しい版で各1件・古い版で0件。走査は research/data/shuro-shomei.py
確かめたこと要件の線の原文(施行規則 第1条の5 第1号)。現況届の事項と書類(法第22条・施行規則 第9条・第2条第2項)。いまの様式第一号が令和6年内閣府令第84号(令和6年9月30日公布施行)で改められたものであること(それより前に府令の様式第一号がどういう形だったかは見ていない)と、その様式に記載要領が付いていないこと。記載要領のNo.6・No.7・No.18の原文(1つの契約書に食い違う数があるときの書き方は無いこと)。公定価格FAQ No.358 の原文。2023年版FAQ No.11(記載要領の修正)。国の通知の下限の説明。求職の扱い(施行規則 第1条の5 第6号・第8条第4号・第4条第2項)。シフト制の留意事項の、目安の日数の例、年休の節の一文(新しい版にだけある)、雇用保険の節の一文(両方の版にある)、相談の窓口(4(1))
確かめていないこと市町村が、No.6とNo.7のどちらで要件を見ているか(1つも見ていない)。下限の時間を何時間にしている市町村が多いか(分布の国の数を探していない)。府令の様式になった後も、市町村が記載要領を直してよいのか。国の通知に、令和2年より後の改正があるか(こども家庭庁の通知の頁で見当たらなかったが、確かめきってはいない。10月11日追記:令和4年3月23日の一部改正があった——直したのは第3〔施設・事業者の確認〕で、この記事で引いた就労の要件と下限の説明は新旧で同じ。10月11日の記事)。声の人の契約書の中身と、休んだ日が有給か無給か。シフト制の留意事項が2026年6月に改正された経緯
していないこと個別の相談に答えること。声の人が要件を満たすかどうか、勤め先の書き方が正しいかどうかを判定すること。書き込みの文章を再掲すること

いま困っている方へ

ここに書いたのは、国が公開している法令・様式・手引き・通知を読んだ結果です。一般的な話であって、あなたのご家庭や、お住まいの町・勤め先の決まりは研究所には分かりません。

要件の時間を何時間にしているか、就労証明書のどの欄を見ているか、シフト表や備考欄の事情を見てもらえるかは、認定をしている市町村の保育の担当に聞けます(認定は市町村が行います。子ども・子育て支援法 第20条)。

契約書の日数と実際のシフトがずれていることや、シフトの決め方について勤め先と話がこじれたときは、シフト制の留意事項が「解決方法の一つとして、個別労働紛争解決制度」を挙げ、「お近くの都道府県労働局、各労働基準監督署内などに設置されている総合労働相談コーナーにご相談ください」と書いています(4(1))。

子の熱で休んだ日については子の熱で休んだ日の記事、仕事が休みの日の預け方については休みの日の記事にも書いています。

元になった声について

この記事は、公開されている連載の書き込み(4回分)から始まりました。書き込みの文章そのものは残していません(研究所が持っているのは1行の要約と元のURLだけです)。同じことで困っていたら、投稿箱で教えてください。研究所はメールも名前も受け取りません。